ザガーロはプロペシアと並ぶAGA向けの内服治療薬です。
プロペシアとの違いは、悪玉男性ホルモンの産生酵素である5αリダクターゼ(1型と2型)を共に抑制して、AGAを解決できるという究極的な役割を持っている点です。
強力である反面、同時に他の薬を内服している方にはリスクも付き物です。
これから述べる事を長所短所含めて参考材料にしてください。
ザガーロが効かない原因
A、個人差や体質の問題
B、生活習慣の問題
C、AGAが極度に進行しているから
D、初期脱毛を誤解している為
E、遺伝的要因
F、内分泌系の問題
G、他の薬剤との相互作用が生じている
H、服用が不規則
I、使っているものが正規薬ではない
J、そもそもがAGA原因の薄毛ではなかった
A、個人差や体質の問題
ザガーロの主な役目はDHT(ジヒドロテストステロン)の抑制です。
DHTを産生する酵素に5αリダクターゼがあります。
酵素の活性度には個人差があるのですが、酵素活性が強い人ほど効果が薄いと言われています。
さらには、薬などを分解して体の外に出しやすくする働きを促す薬物代謝酵素があり、これは特に肝臓や小腸でたくさん働いていて、飲んだ薬の半分くらいに関わっています。この働きが悪いと血中濃度が低くなり、ザガーロが効かない可能性があるのです。
B、生活習慣の問題
薬の効果を削ぐもので最悪なものは喫煙です。
これは血管を収縮させ頭皮への血行を阻害するものです、という事は薬の吸収も妨害するという面があります。
更にニコチンは男性ホルモンの乱れも助長するものなので、DHTの変化も発動しやすくなる、発毛にとって得るものはありません。
不規則な生活状態や過度のストレスもDHT産生が亢進する機会を作ってしまう点で、ザガーロの効果が半減する可能性が高いです。
C、AGAが極度に進行しているから
ザガーロは毛根の活性化による発毛効果が得られるのですが、既に毛根が萎縮している場合、発毛の機能不全に陥っているわけなので、手遅れの可能性があります。
D、知識の問題(初期脱毛を誤解している)
服用を開始すると、必ず初期脱毛がやってきます。
これはヘアサイクル(毛周期)を正常化する為に免れない流れ。
休止期の毛を脱落させる事で、新しい毛が生える環境を整えてくれるのです。
初期脱毛は通常3~6カ月程度に訪れ、その後徐々に発毛します。
このペースを受け入れられず、内服を止めてしまい発毛の機会を失しているというケースです。
E、遺伝的素因
AGAには遺伝的素因が強いです。
両親や祖父母にAGAの人がおられた場合、自身もAGAになる可能性が高いものです。
特に母方の遺伝の影響が強い。
遺伝的にDHTの感受性が高い人は、毛が早期に休止期へ移行する。
要するに、毛が早くお休みモードになり、新しい毛が生えにくくなります。これは、体質が原因で、DHTというものに強く反応しすぎることに関係してきます。
このケースはザガーロの効果では及ばないという事になります。
F、内分泌系の問題
内分泌系の乱れも効果の低さに起因します。
甲状腺機能低下症では、男性ホルモンの代謝が遅くなり、DHT値が上がり、AGAが進行するケース。
対して、甲状腺機能亢進症ではヘアサイクルが乱れ、毛根が早期に休止期を迎える為、発毛が難しくなります。
インスリン抵抗性や糖尿病による、インスリン値の上昇は男性ホルモンを増加させ、DHT産生を促進させるので、ザガーロの効果を激減させてしまいます。
G、他の薬剤と相互作用が生じている
ザガーロは肝臓で代謝される薬です。CYP3A4という酵素で代謝される他の薬剤と併用する事で、薬の作用が拮抗し合う可能性があります。
特にフェニトイン、カルバマゼピン、リファンピシンという薬はCYP3A4を誘発し代謝を促進させ、ザガーロの血中濃度を下げる可能性があります。
対して、抗生物質のエリスロマイシン、HIV治療薬のリトナビル、抗真菌薬のイトラコナゾール、これらの薬はCYP3A4の働きを阻害させ、ザガーロの血中濃度を高め、副作用のリスクを高めてしまう危険性があります。薬の相互作用を避けるため、他の薬との併用は十分注意するべきです。
もし、他の薬を服用し、ザガーロが効かない場合は薬剤の内容を確認する必要があります。
H、服用が不規則である
ザガーロは継続して使用する事がマストです。
半減期はおよそ約5週間と血中からの消失に時間を要します。
服用を1日でもサボると血中濃度が低下してしまうので、治療開始の時期は注意が必要です。
I、正規薬を使っていない
ザガーロは処方箋薬です。
個人輸入や無承認の薬は偽薬の可能性が高く、ずさんな保管によって品質が劣化している事が考えられ使用する事は副作用のリスクに見舞われる可能性があり危険です。
J、原点の問題(AGA原因の薄毛ではなかった)
ザガーロはAGAの人が適応です。
AGAはDHTが過剰に毛根に作用する事で引き起こされる薄毛ですが、他の脱毛症においての使用は効果がありません。
例えば、ストレス性、栄養不足、ホルモン異常、自己免疫疾患による脱毛、こういったものはAGAの範疇ではないのでザガーロは効果がありません。
デュタステリドの効果を発揮する為に重要な事
十分な効果を発揮させるには、正しい服用方法を守る事です。
また服薬をサボってはいけません。
タイミングは空腹時の服用です。食後の服用は血中濃度が低下し始め効果が落ちてしまいます。
理想は起床時や食事の2時間前後の服用です。
生活習慣の見直しも重要です。
喫煙の習慣は最適とは言えません。ニコチンは血管を収縮させる為がザガーロの吸収を阻害させる要因になります。
不規則な生活は自律神経の乱れを誘発させ、男性ホルモンバランスを崩す要因になります。
就寝時間を一定に保ち、体内時計を一定にする事も大切です。
デュタステリドが効かない場合の対処法
●専門医の診断と治療方針の変更
AGAがどれぐらい進行しているのか、他の疾患との鑑別、内分泌系の異常を血液検査でチェックします。
もし、効果が出ない事が判明した場合は治療方針の見直しを行います。
AGAの進行度合いが著しい場合は毛髪移植術を検討してみるという選択肢を持つ事も必要です。
●フィナステリドへの切り替え
遺伝的要因、内分泌異常がある場合はフィナステリドの方が効果を期待できます。
しかし、副作用のリスクも付き物なので医師と連携し判断する事が一番大切です。
まとめ
ザガーロは男性型脱毛症(AGA)の根本治療薬です。
改善が見られない場合がありますが、原因は個人差や体質、他の薬剤との相互作用によるものです。
服薬を正しく守り、生活習慣の改善をする事で効果を最大限に引き出す事ができます。
それでも改善が見られない場合は専門医の診断を受け、原因を特定する事です。
AGAは様々な要因が絡み合う複雑な疾患です。
落ち着いて原因を究明し、適切な治療を見つけるべきです。